海外事情ニュースレター

海外の薬事法務に関する最新情報をお届けします。

化粧品をはじめ医療等製品の法規制情報をブログに掲載しています。アメーバブログ(yakuki-matsui)より)

2021/6/04更新

タルク(滑石微粉末)判決に対するJ&J社の控訴が米国最高裁判所で棄却される

米国法廷での過去の評決は、タルク製品に含まれるアスベストが原因で卵巣がんを発症したとする女性たちの主張を認め、賠償金を支払うようジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)社に命じましたが、同社はこの決定を不服として、米国最高裁判所に上訴していました。AP通信の報告によりますと、米国最高裁判所は、J&J社の控訴を棄却しました。当初の金額は 47 億ドルでしたが、ミズーリ州控訴裁判所で 2 人の女性が訴訟から降りたことにより、22 億ドルに減額されました。最高裁判所の陪審は、同社のタルク製品にアスベストが含まれており、アスベストに汚染されたタルクが卵巣がんを引き起こす可能性があるとして、22 人の原告に有利な判決を下しました。 J&J社はこれらの点に異議を唱えています。

生殖器部位でのタルク パウダーの使用が卵巣がんのリスクを高めるという主張をめぐっては、論争が巻き起こっています。 同社はまた、252,745 人の女性から得られたデータを分析する 大規模なコホート研究を引用しました。その結果、生殖器部位での粉末の使用と発生した卵巣がんとの関連のハザード比は 1.08 であり、統計的に有意ではありませんでした。この結果は、同社の主張を支持します。

しかし、米国食品医薬品局 (FDA) が委託した検査では、サンプリングされた約 52 の市販製品のうち 9 つの製品でアスベストが検出されました。 これらの調査結果は、2020 年 3 月に、 6 部構成レポートで発表されました。この検査はなお継続しています。実際、FDA は、アスベストやタルクの混入物として存在するかもしれない、また、健康被害を引き起こすかもしれない”細長い鉱物粒子”の性質を明らかにし、測定することを目的に、使用できる試験方法等のトピックに関する科学データを入手するための、政府機関をまたがる特別なワーキング グループを結成しました。最高裁判所での最終結果は2021年後半に出るものと予想されています。

(引用:Rachel Grabenhofer, Cosmetics and Toiletries誌June 2, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/5/18更新

オリーブ文化に根ざした植物由来の再生可能スクワレンを供給するSophim社

スクアレンはコレステロールの生合成前駆体として生理学的に重要な成分です。一方、化粧品素材としても基幹成分として重宝されています。しかし、サメの肝臓に由来するスクアレンが化粧品として使われていたため、サメ資源の枯渇が心配される昨今、化粧品の処方からスクアレンが消えるのではないかと心配している方も多いのではないでしょうか?しかし、その心配はないようです。スクアレンは動物由来から植物由来に代わるでしょう。25年前に南フランスに誕生したソフィム社は、早い段階で世界のマーケットリーダーとなるために、動物用スクアレンの代替品として植物由来素材を選択しました。現在、この基幹化粧品成分の老舗であるソフィム社は、オリーブオイルの副産物からの植物由来再生可能スクワレンを、アジアでの需要を満たせる生産能力で生産しています。スクアレンの需要は特にアジアで急増しています。ソフィム社は当初、この基本的な成分を業界に提供するために企業されましたが、すぐに、動物由来と同じ特性の植物由来スクアレンを提供できる地中海沿岸原産オリーブを原料に選んだそうです。

「私たちは1996年に事業を開始しましたが、約10年後に需要はコンスタントに増加し始めました。 それ以来、オリーブスクアレンは本当に人気を博しています」とCEOのAlexis Margnat氏は述べています。

2014年に、ソフィム社は原材料入手しやすくするためにスペインのアルメリアにある工場を購入したそうです。

「私たちはオリーブオイル産業からの廃棄物を扱っています。 オリーブオイルの精製に由来する副産物は脂肪酸で、その中に5%から10%のスクアレンを含みます」とAlexis Margnat氏は説明します。スペインのサイトでは、これらの副産物から回収されたスクアレンを集め、フランスに送って精製し、スクアレンに変換します。 残余物もスペインでバイオディーゼルになるそうです。

(引用:Kristel Milet, Premium Beauty News 誌 May 18, 2021 (https://www.premiumbeautynews.com/en/sophim-a-virtuous-sustainable,18485))

 

2021/5/13更新

米国化粧品ブランド「クリニーク」は、プロバイオティクス製品問題で集団訴訟に直面している

クリニークラボラトリーズLLCは、ニューヨーク米国南部地方裁判所に提起された全米での集団訴訟に直面しています。集団訴訟に関する裁判所資料によると、「クリニークは微生物成分が生きていないにもかかわらず、発赤解消化粧品を「プロバイオティクス」として誤って宣伝している」と主張しています。

集団訴訟は、クリニークの発赤解消化粧品シリーズを購入した消費者に代わって2021年3月に提起されました。クリニークは、「プロバイオティクス技術」を含む化粧品としてライン販売しています。

原告Dalit Cohenは、次の理由により、製品にプロバイオティクスが含まれていないと主張しています。

1.「プロバイオティクス」という名の微生物由来成分は、死んだ状態である。

2.製品に使用されている保存料、換言すると、抗菌物質は、プロバイオティクス培養物を不活性な、効果のないものにしている。

原告Dalit Cohenは、ニューヨーク一般商法349節の違反、つまり、明示的および黙示的品質保証の違反を理由にクリニークを訴えています。

(引用:Hannah Fink, Cosmetics and Toiletries誌May 13, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/5/12更新

植物原料のトレーサビリティ向上のため、DNA研究共同体(DNA&Cosmetics)が形成される

日本ではDNA分析は法医学や血縁解析に用いられますが、海外の化粧品業界で研究コンソーシアム"DNA&Cosmetics"が結成されました。このコンソーシアムの目的は、製品に含まれる植物原料のトレーサビリティ(追跡可能性)を保証することです。メンバーは、Laboratoires Clarins、Codif Technologie Naturelle、Greentech、L’OréalResearch&Innovation、LVMH Recherche、Groupe Nuxe、Sederma、DNAGensee社です。

”DNA&化粧品”コンソーシアムは、植物原料の安全性を確保し、植物原料から消費者までの安全管理をより適切に行うことを目的とし、化粧品/香水分野に企業活動モデルを提供します。

コンソーシアムのメンバーは、DNA分析に基づく科学的手法で、製品に使用される植物資源の植物学的な出所起源の正しさを保証するデータベースを構築することを計画しています。

DNA分析では、信頼性高く、植物の種や品種を特定できます。たとえば、この分析で白ユリ(Lilium candidum)と王室白ユリ(Lilium regale)が区別できます。

(引用:Hannah Fink, Cosmetics and Toiletries誌May 12, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/5/3更新

自家製化粧品の躍進の予兆:フランスのネット通販企業に4億1000万ユーロを投資する

好みの精油で手作り香水を楽しむ人が日本でも増えています。原材料(精油等)を購入し、レシピに従い、調合し、自身で使用することは比較的簡単にできます。

香水の先進国フランスでは、自作の香水の原材料と調合のレシピを製造および販売するネット通販企業へ、国際市場への展開を見据えて、投資活動が活発化しているようです。

ただし、日本においては、香水も化粧品に含まれるため、香水を自社の名前で市場に流通させる(化粧品の製造販売・輸入販売)には、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、化粧品製造販売業許可が必要ですのでご注意ください。

投資グループEurazeo(ユーラゼオ)は、フランスのアロマセラピー、ナチュラルDIY(Do-it-yourself)製品の大手ネット通販企業であるAroma-Zone(アロマゾーン)と4億1000万ユーロの投資契約を締結しました。

アロマゾーン社は、エッセンシャルオイルに関する情報を提供するウェブサイトとして1999年に設立され、現在、フランスの美容と福祉関連製品の大手オンライン小売業者になっています。アロマゾーン社は、オンラインで客に直接販売することにより、原材料の組成を完全に透明化し、幅広い天然成分やDIY製品を製造・配布しています。

ユーラゼオは、アロマゾーン社の株式を取得することにより、アロマゾーン社の国際成長戦略に貢献し、同社の成長をサポートしたいと考えています。

(引用:Premium Beauty News 誌 April 25, 2021 (https://www.premiumbeautynews.com/en/eurazeo-ready-to-invest-eur-410,18345,en))

 

2021/5/1更新

中国は輸入化粧品に義務付けていた動物実験を5月1日から免除する

2021年5月1日より、中国に輸入された「一般化粧品」は動物実験が免除されます。ブランド品は、GMP証明書と製品の安全性評価を提出する必要があります。日本から中国に化粧品を輸出する場合は、動物実験に起因する負担が軽減されるのではないでしょうか。

化粧品に関する新しい中国の規制実施を目的とした一連の草案は、この免除の可能性を示唆していましたが、いま公になりました。実際、中国国家医療製品局(NMPA)によって3月4日に発行された、化粧品登録および届出の管理規定は、一般化粧品は最初に動物実験することなく、中国に輸入できることを規定しています。

中国の規制では、化粧品は、「特別用途」化粧品と「一般」化粧品の2つのカテゴリーに区別されています。特別用途化粧品には、染毛剤、ヘアパーマ製品、そばかす除去/美白製品、日焼け止め、脱毛防止製品、および新効果を申し立てる化粧品が含まれます。化粧品監督管理規則(CSAR)の化粧品定義に合致する他のすべての製品は、一般化粧品に分類されます。したがって、動物実験の免除は、中国に輸入される化粧品の大部分に関係するようです。

(引用:Vincent Gallon, Premium Beauty News 誌 March 12, 2021 (https://www.premiumbeautynews.com/en/china-to-end-compulsory-animal,18109))

 

2021/04/30 更新

プレ、プロ、およびポストバイオティックス化粧品を規制する必要がありますか?

上記の論題の Olivia Santoni氏(Bloom Regulatory,Ltd.、London)論文からの規制情報です。

日本の今後のバイオ化粧品の研究開発、製造販売にも大きな影響をもたらす興味深い議論ではないでしょうか。

この論文では、マイクロバイオーム(微生物叢)に焦点を当てたスキンケア製品と効果効能に関する主張を規制すべきかどうかを議論しています。 安全性、有効性、規制、マーケティングの観点からこのような製品の複雑さを示し、基準を設定する時期かどうかという疑問を投げかけています。

皮膚マイクロバイオームに焦点を当てた製品の定義または現在利用可能な国際ガイドラインはありません。世界中の規制当局がこのトピックに関心を示しています。たとえば、米国の食品医薬品局(FDA)は、特に有効性、安全性、品質に関して、根拠を示すことのできない可能性のある化粧品と見なして、以下のような問題点を挙げています。

プロバイオティクス(直接または既存の微生物相への影響を介して、塗布部位で美容効果を達成するために製品に添加される、生きているまたは休眠中の微生物)は防腐剤を含む化粧品でまだ生きていますか?化粧品におけるプロバイオティクスの目的とする機能は何ですか?プロバイオティクスの存在は製品の安全性に影響を与えますか?製品の品質に影響はありますか?プロバイオティクスを含む化粧品の製造に関して特別な考慮事項はありますか?生きた微生物を含む化粧品は、既存の微生物汚染の制限をどのように満たすことができますか?化粧品中のプロバイオティクスの存在は、製品の貯蔵寿命と保管に影響を与えますか?プロバイオティクス化粧品は他の国によってどのように規制されていますか?

この論文では、既存の化粧品規制を考慮したうえで、これらの問題に加えて、追加の懸念も述べています。安全性、有効性、マーケティングの観点から、このような製品を取り巻く混乱と複雑さが示されています。

現在の規制の進捗状況を述べますと、皮膚のマイクロバイオームに機能する化粧品または成分を管理する世界的規制要件はありませんが、化粧品規制協力 国際会議(ICCR)は、ヒト皮膚マイクロバイオームを対象とした化粧品の安全性、品質、規制の議論を進めています。

(引用:Cosmetics and Toiletries誌April 30, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/04/27 更新

FDA(米国食品医薬品局)から規制情報が発出されました。

6つの消毒剤違反、着色料と化粧品の登録に関するものです。

米国食品医薬品局は最近、着色料の認証、自主的な化粧品の登録、および手指消毒剤の違反に関する最新情報を発行しました。これらの情報は日本から米国に、食品、医薬品、化粧品、医療機器等の製品を輸出する際に、クリアーしなければならない規制情報となるでしょう。

手指消毒剤の違反:

FDAは手指消毒剤の「使用しない」リストに6つの製品を追加しました。大多数は中国からのものであり、潜在的な疑いが喚起されていました。しかし、米国フロリダ州の1つは微生物汚染のために自主的に回収され、もう1つはボトル入り飲料水に似たパッケージを違法に使用していました。

認定色:

ほとんどの読者がご存知のように、色認証は、議会がFDAに義務付けたプログラムで、食品、医薬品、化粧品、医療機器用の着色添加剤の仕様を認証するものです。これに関連して、FDAは着色料の認証に関する四半期報告書を発行しました。

自主的な化粧品登録:

ご存知のように、米国では化粧品会社は自社の製品処方をFDAに登録または届出る必要がありません。しかし、積極的登録を募るために、自主的な化粧品登録プログラムが開始されました。これは、完全に概括的とは言えませんが、現在の製品概要情報を提供しています。

(引用:Cosmetics and Toiletries誌April 15, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/04/25 更新

オーストラリアは使用明細事項で美白成分アルブチン禁止令を覆すとのことです。

オーストラリア治療製品局(TGA)は、アルブチンの使用と表示について、アルブチンの種類とその許容濃度を細分することにより、使用基準(SUSMP)の更新をリリースしました。この措置により、以前オーストラリアで禁止されていたかなりの数の製品が販売できることになるそうです。

(引用:Cosmetics and Toiletries誌April 19, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

2021/04/15 更新

中国が化粧品の安全性と有効性の要求基準を発行しました。

中国の化粧品規制当局は、有効性要求の評価基準と安全性評価の技術ガイドラインを発表しました。これらはすべて5月1日に発効します。日本から中国に化粧品を輸出する場合は、これらの要求基準の発行に注意が必要です。

化粧品メディアのCosmeticsBridgeからの報告によると、中国で待望の、化粧品監督管理規則(CSAR)の実施に備えて、国家医療製品管理局(NMPA)は、製品の安全性と有効性のテストと要求に関する基準を発行しました。

「化粧品有効性評価基準」と「化粧品安全性評価技術ガイドライン(2021年版)」の両方が2021年5月1日に発効します。特別化粧品または一般化粧品のいずれかを申請する場合は、製品要求を評価する必要があります。所定の「明細書」に規定された要件の下で、NMPAによって指定されたWebサイトを介して製品の有効性要求の根拠の要約を提供します。これに関連して、特別化粧品登録または一般的化粧品届出の、いずれかを申請する場合は、事前に化粧品の安全性評価を「技術ガイドライン」の要件に従って実施する必要があります。製品の安全性評価資料も提出する必要があります。

2021年5月1日から12月31日までに登録される化粧品については、要求評価レポートの要約を2022年5月1日までにアップロードする必要があるようです。

(引用:Cosmetics and Toiletries誌April 9, 2021 (https://www.cosmeticsandtoiletries.com/regulatory/))

 

 

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